私の知識の95%は小学生の頃に愛読していた「学研まんがシリーズ」で構成されているといっても過言ではない。そしてオカルト(死語?)分野において、多大なる影響を受けたのがこの「いる?いない?のひみつ」である。
私はネッシーもビッグフットもノストラダムスも第六感も高島易断も西洋の幽霊には足があることも全部この本から教わったのだった。(そしてその情報のまま更新されていない)
この本の魅力といえば、やはり作中のまんがのタッチが渋くて大人っぽいところだろう。ノストラダムスが王様に「余の死ぬ日を予言してみよ」って言われて「10年以内に死を迎えることになるでしょう」と伝えると、頭を抱えながら「そこまでわかっていて逃れられぬのか!」と苦悩する王に「運命でございます」って厳かに伝えるんだよ。めちゃくちゃ渋い。そして予言通り王は(アンリ2世だったのね。いま知った)自ら催した馬上槍試合の際に、槍が頭に刺さって死ぬ。
もうひとつよく覚えているのがシーサーペントのエピソード。Wikipediaによるとまあネッシーっぽい巨大な謎生物。
海洋で目撃、あるいは体験される、細長く巨大な体を持つ未確認生物(UMA)の総称
シーサーペントに遭遇した船乗りが、後日街の人に「なあ本当は大ウナギだったんだろ?」みたいなことを聞かれた時に苦悩の表情を浮かべなから(あれは見たものでなければわからんさ……)みたいにしているシーンがあって、そこがすごく印象深いな。
他にもリストの霊が乗り移るローズマリー・ブラウンとか面白い。近所の奥さんに「奥さんはとってもピアノがお上手ですのね。毎晩熱心に弾いてらして……」みたいなこと言われてるけど、それって騒音クレームじゃないのか、と今は思ったりもする。
ローズマリー・ブラウンの現象を解明しようと音楽の専門家と心霊現象の専門家たちが一同に会した番組なんかも作られる。すごいメンツだ。絶対見たい。
この「いる?いない?のひみつ」の面白さは、ネット検索があたりまえになってしまった現代では到底得ることのできない「不思議さ・恐怖・ほんの少しの胡散臭さ」であろう。
『世の中には解明できない不思議な現象があり生き物がいて、我々はそれが解明されないからこそ引き付けられるのだ』と思う。
今でもネッシーの存在を信じている人がいるという。カウンターでスコッチかたむけながら「本当にネッシーはいるんだよ」などとお爺さんがひっそり呟いているのではないだろうか。ちなみにネッシーの正体は「流木」だそう。こんなにつまらない結論ある??
冒頭に貼ったのは1981年版。この表紙が好きだった。その後1992年版、2014年版と版を重ねているのがすごい。今やKindleでも入手可能。でもやっぱり初版を手元に置いておきたいな。
何でも検索してしまうのではなく、不思議がいっぱいだった頃を思い出したいから。