いーむの日記

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【読書メモ】イサの氾濫 / 木村友祐

 

40代になりいよいよ東京での生活に行き詰まりを感じていた将司は、近ごろ頻繁に夢に出てくるようになった叔父の勇雄(イサ)について調べるため、地元八戸にむかった。どこにも居場所のなかった「荒くれ者」イサの孤独と悔しさに自身を重ね、さらに震災後の東北の悔しさをも身に乗り移らせた彼は、ついにイサとなって怒りを爆発させるのだった。第25回三島由紀夫賞候補作。(未來社HPより)
 
正直言って「イサ」と呼ばれる叔父の勇雄の荒くれっぷり(器物損壊、傷害、暴行)には「ないわー……」という感想なのだが、それでもぐいぐい読んでしまうのは私の東北人としてのDNAによるものなのか。

東北人は、無言の民せ。

したんども、ハァ、その重い口(くぢ)ば開いでもいいんでねぇが。叫(さが)んでもいいんでねぇが。

ここだけでもうぐっと来て涙が出そうになる。それでも最近は大谷翔平、佐々木朗希が東北のイメージを変えてくれたと感じている。東北弁が出てくる小説はもっと読みたいな。井上ひさしや「おらおらでひとりいぐも」は読んだことがあるので、他にももっと探してみよう。