「痛いの痛いの遠くのお山へ飛んでけ」が与えてくれるもの

スピリチュアルな意味での言霊にはあまり興味ないが、親から子にかけることばにはそういうものがこもっていると思っていて、特に「いたいのいたいのとんでけ」はそうだと思う。

 

大人が子どもに対してやってあげられることの大きな役割のひとつは「大したことはないんだよ」と思わせてあげることだと思う。子どもがパニックになっているときに大人がもっと慌てていたら子どもは本当に不安に思うのだ。

 

たまたまテレ東の午後のロードショーで放映していた『ダンテズ・ピーク』を観たことがある。

ダンテズ・ピーク||洋画専門チャンネル ザ・シネマ

火山の大噴火を描いたSFXは迫力満点でそれは見ごたえのあるものだったのだが、一番印象に残ったのは、ピアース・ブロスナン演ずる地質学者・ハリーの子どもに対する接し方だった。

 

物語の終盤で絶体絶命に陥ったハリーと女性市長レイチェルとその子どもたち。幼い女の子が怯える中で、ハリーはこう言って聞かせるのだ。

 

「海釣りに行ったことがあるかい?ここを脱出できたらきっと行こう。船に積みたいものを全部積み込んで、みんなでフロリダに行くんだ」

 

手元に控えがないのでこのとおりではないかもしれないが、大意としてはこんな感じのことをハリーは言う。これが私の理想とする大人の振る舞いなのだ。生き抜くための希望を与えて、恐怖を減らしてあげること。こんなに素敵な励ましがあるだろうか。

 

私はブロスナンが割と好きで、なぜならプレイボーイのジェームズ・ボンドを演じながらも、こういう子どもに優しい姿も決して不自然ではないからなのだ。美女だけでなく、老若男女に対して紳士的な感じしませんか。歴代のボンドの中でも一番子どもに優しそうだなぁとも思う。(吹き替えの田中秀幸さんの力も大いにあるが)

 

私自身は肝っ玉も小さく余裕を持った大人だとは決して言えないのだが、幼い子どもや自分より年若いひとがパニックになっている時、「大丈夫だよ」と深呼吸させてあげられるような大人でありたい、と理想だけは持っている。